産学官交流サロン


平成30年度 開催実績
 
■第8回(平成31年3月26日)
 ◇トピックス:「沖縄のエネルギー問題と未来の展望」
 ◇講   師:琉球大学 教育学部 教授(工学博士) 清水 洋一 氏
 ◇内   容:
 沖縄のエネルギー自給率は約2%であり、経済活動や生活に必要な石油、石炭、LNGなど、一次エネルギーの殆どを輸入・移入に依存している。3月のサロンは、沖縄のエネルギー事情について清水氏よりデータを交えながらご説明頂いた。
 沖縄県は電源構成でも石炭火力発電主体で、温暖化ガスであるC02の排出削減も容易でないという課題がある。そこで、例えば普天間飛行場の敷地面積で太陽光発電や風力発電を行えば県内電力需要の何%賄えるか等の試算を紹介しながら、将来の持続可能な沖縄を構築するためには、将来を担う人材教育が必要であると、子供を対象に現在実施している省エネ教室や出前授業の様子を紹介された。
■第7回(平成31年2月26日)
 ◇トピックス:「沖縄の地域振興と沖縄への想い」
 ◇講   師:元沖縄総合事務局 経済産業部部長 富田 育男 氏
 ◇内   容:
 沖縄県内では近年、那覇空港第2滑走路、ホテル、集合住宅など様々な公共工事、民間工事が、人手不足問題を抱えながらも進行中である。2月サロンは富田氏から、沖縄への想いとあわせて今後の沖縄産業振興のあり方などの講話を頂いた。
 富田氏としては、観光土産以外で伝統工芸品を活用しきれているのか懸念で、かりゆしウェアを柄の部分使用でコストを下げて全国へ広げていけないかとアイディアを示唆された。また、「日本は他国が作ったルール内で戦ってきた」というご認識の下、例えば建材の遮熱の性能評価の国際標準を日本が作れば競争が有利になると、沖縄だけでなく日本全体の視点からのご意見も頂いた。
■第6回(平成31年1月31日)
 ◇トピックス:「世界・日本・沖縄の経済動向と今後の展望」
 ◇講   師:日本銀行 那覇支店 支店長 桑原 康二 氏
 ◇内   容:
  沖縄経済は観光業や建設業で好況感を呈している。国内経済も、元号改正の祝賀ムードや東京五輪特需の好材料がある。一方、世界規模では米中貿易摩擦など不穏な動きも見られる。1月サロンは、日本銀行那覇支店長の桑原氏をお招きし、景気について包括的にご講話を頂いた。
 同氏は主に製造業の観点から、中国経済が昨年末から減速局面を迎えた上に貿易摩擦、更にスマホ需要の鈍化が重なり、世界的な転換点かもしれないと述べられた。全国的にも各地の製造業が中国からの受注減を報告する中、製造業が小さい沖縄は現段階ではそれほど影響は無いだろうが、今後注意深く状況を見ていかなければならないと締められた。
■第5回(平成30年12月25日)
 ◇トピックス:「沖縄泡盛業界の現状と今後の展望」
 ◇講   師:沖縄県酒造組合 会長(瑞泉酒造 代表取締役社長)佐久本 学 氏
 ◇内   容:
 沖縄の酒として広く知られている「泡盛」。県内には酒造所が50弱、中には創業100年以上の酒造所もあり、伝統産業でもある。12月サロンは、県内の酒造所を組合員とする沖縄県酒造組合の佐久本会長をお呼びし、泡盛の現状、今後についてお話し頂いた。
 泡盛の移出量は、「ちゅらさん」ブームや焼酎ブームを経た2004年をピークに年々減少している。若年層の酒離れ傾向も目立つが、小規模酒造所では、個別に取り組みを行う余裕はない。そこで、酒造組合として島酒フェスタを開催したところ好評で、今年4月には第2回島酒フェスタを開催する。その他に瑞泉酒造としてのスパークリング泡盛の開発等のお話もあった。
■第4回(平成30年10月29日)
 ◇トピックス:「デジタル革命と沖縄社会・経済の変革」
 ◇講   師:一般財団法人 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)
         理事長 中島 洋 氏
 ◇内   容:
 今、世界の潮流は第4次産業革命である。デジタル革命による影響はどのようなものか。10月サロンは、沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)理事長の中島氏よりご講話を頂いた。
 ビッグデータ、人口知能やIoT等デジタル分野の進展により、銀行や自転車産業の大幅な変化が予見され、世界的にも産業、生活は大きく変わろうとしている。この流れの中で日本は出遅れており、政府はサイバーとフィジカルの高度融合等の未来の社会像“Society5.0”を打ち出しているが、その沖縄版のOkinawa5.0実現のためのデジタル沖縄の創造を推進する「ITの司令塔」がISCOであり、日本の1%経済の沖縄で実証していきたいと述べられた。
■第3回(平成30年7月31日)
 ◇トピックス:「沖縄経済の課題と展望」
 ◇講   師:内閣府沖縄総合事務局 経済産業部長 寺家 克昌 氏
 ◇内   容:
 沖縄の景気について、観光関連、住宅・公共投資、雇用情勢などが良い数字が報告されており、またIT業界では、急速な企業集積が進んでいる。
 このように好況に見える沖縄経済ではあるが、課題は無いのだろうか。7月サロンでは寺家部長をお招きしてお話を伺った。寺家部長は統計を基に、沖縄県は特に若者の離職率が高い、事業の後継者不在率が高い、等の課題点を指摘された。それに付随して、課題点の解消のために必要な対応、進行中の取り組みの紹介があった。また、より広く俯瞰的な観点から、Society 5.0(サイバー空間と現実空間の高度融合)やSDGs(持続可能な開発目標)という未来社会に関する考え方のご紹介もあった。
■第2回(平成30年5月22日)
 ◇トピックス:「沖縄の将来を見据えた人づくりについて」
 ◇講   師:興南学園理事長 中学・高校長 兼 野球部監督 我喜屋 優 氏
 ◇内   容:
 興南高校野球部は2010年に甲子園で春夏連覇を果たし、多くの県民に感動を与えた。監督として部を率いた我喜屋先生は野球を通じて社会に通用する人づくりに努めてこられたことでも有名だ。
 5月サロンは我喜屋先生をお招きし、将来を見据えた人づくりについてお話し頂いた。
 我喜屋先生自身も選手として1968年夏の甲子園で「興南旋風」(県勢初ベスト4)を巻き起こした。また、負けの込んでいた北海道の社会人野球チームを、「冬に室外練習を行う」という逆転の発想で全国制覇に導いた。母校の監督に赴任してからは「人はエラーをする。そこをカバーしなければ」と道のゴミを拾う事の意義を説くなど、人間的成長にも資する考え方について講話を頂いた。
■第1回(平成30年4月26日)
 ◇トピックス:「新技術と長期ビジョンを踏まえた沖縄経済産業の振興について」
 ◇講   師: 沖縄総合事務局 局長 能登 靖 氏
 ◇内   容:
 近年、技術は凄まじいスピードで進化している。ITや自動車の進化、その他諸々の技術が近い将来の我々の社会の有り方も大きく変えていくことになりそうだ。4月サロンは、沖縄総合事務局の能登局長をお呼びし、新技術も取り入れながら進化していく沖縄の長期ビジョンをご説明頂いた。
 まず、昭和47年以降の沖縄の振興計画を俯瞰し、給水制限の減少、GDPの大幅な伸び、観光の隆盛などの結果を振り返りつつ、離島での教育としてのIT技術を活用した村営塾事業、また被災時のハイブリッド車からの給電の可能性のような沖縄の課題解決へのビジョンの一端について講話頂いた。他にも交通渋滞、貧困問題等の話題も挙がった。