産学官交流サロン


平成27年度 開催実績
 
■第9回(平成28年3月29日)
 ◇トピックス:「奄美・琉球世界自然遺産登録に向けた今後の展開」
 ◇講   師:環境省 那覇自然環境事務所所長 西村 学 氏
 ◇内   容:
 沖縄では、平成12年に首里城に代表される「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が既に世界文化遺産として登録されている。現在、環境省では沖縄本島北部地域と西表島、及び鹿児島県の奄美大島と徳之島の世界自然遺産登録に向けて活動している。3月サロンでは西村所長に、世界自然遺産の登録に向けた取組等をお話し頂いた。「生態系」「生物多様性」が登録に値する点であり、「国の法律で守られていること」「自然を守るための仕組みや協力体制ができていること」という基準を満たすための取り組み等ご説明があった。また、世界自然遺産の保護のためには、地域がどう活用するか、という視点が要ることもご紹介頂いた。
■第8回(平成28年2月23日)
 ◇トピックス:「「沖縄における経済産業振興の今後の方向性」」
 ◇講   師:内閣府沖縄総合事務局 経済産業部長 牧野 守邦 氏
 ◇内   容:
 沖縄経済は現在、国内外の観光客数の増大など活況を呈し、景況感は良好な状況にあるが、近い将来、全国同様、沖縄も人口減少に転じ、経済社会活動の縮小が懸念される。2月サロンでは、沖縄の今後の発展・振興のためにはどのような取組が求められるのか、沖縄総合事務局経済産業部長の牧野氏にお話を伺った。同氏は、物流が県外と県内を隔てる障壁となっていると認識されているが、遠からず人口が減少に向かう社会では、外へ仕事を取りに行くことが必要だと述べられた。今後は事業継承等で経営革新しながら、アジアで単なる価格競争に陥らないようなオンリーワンの価値を身に着けていくべきだとのご指摘であった。
■第7回(平成28年1月25日)
 ◇トピックス:「沖縄経済同友会の飛び込めアジア・シリーズを振り返る」
 ◇講   師:株式会社おきぎん経済研究所 代表取締役社長 出村 郁雄 氏
 ◇内   容:
 沖縄経済同友会では、発展著しいアジアの現状や市場動向等を深く理解するため、平成23年度より毎年海外視察調査を実施してきた。これまでの海外視察先は、ベトナム・シンガポール・マカオ・香港・インドネシア・タイ・ミャンマー・韓国(済州島)・ラオス・カンボジア・台湾。昨年の12月には、フィリピン・マレーシア視察を行い、ホットな話題が多い。1月のサロンは、出村社長に同会の海外視察調査の総括を行って頂いた。これまでの視察先各国の概況や経済指標、訪問先をまとめた資料を基に、今後の中間所得層の購買力の爆発的な増加等、アジアの潜在能力と同時に中進国の罠等の懸念材料についてもご説明された。
■第6回(平成27年12月15日)
 ◇トピックス:「はじめての沖縄」
 ◇講   師:日本銀行那覇支店長 蒲原 為善 氏
 ◇内   容:
 日本銀行那覇支店長の蒲原(かんばら)氏は、今年の6月20日に沖縄着任。沖縄の温暖な気候、独特の文化、好調な観光による力強い沖縄経済への印象を強調する。  12月のサロンは、蒲原支店長に、2015年12月県内企業短期経済観測調査結果を踏まえて県内景気についてご報告頂いた。全産業の業況判断DIは45と、他県では難しい数値をマークしている(2位の広島県が19)。業種別にみても概ね好調であるが、賃金を引き上げても人員不足の解消ができないという懸念材料を挙げた。ただ、外国人の雇用もあるので極端なマイナス材料ではないと語られた。また、同氏が熱心に取り組んでいる座禅にも話が及ぶなど、話題は拡がった。
■第5回(平成27年11月17日)
 ◇トピックス:「台湾と沖縄間におけるスマートフォン連携の取り組みについて」
 ◇講   師:沖縄セルラー電話株式会社 執行役員 國吉 博樹 氏
 ◇内   容:
 沖縄セルラー電話株式会社は、沖縄県に特化した経営を担う地元企業として1991 年(平成 3年)6 月に誕生した携帯電話サービス会社で、通称“au沖縄セルラー”で知られている。  11月サロンは、同社の國吉執行役員にスマートフォンを活用した沖縄と台湾との連携の取組についてご説明頂いた。近年発売の多くのスマートフォンが対応しているNFC(近距離通信)を利用すれば、NFCタグにスマートフォンをかざすだけで多言語で情報を入手可能で、観光の利便性向上のため実証実験も実施されている。今後は銀行系のカードも巻き込み、決済にも対応したいとのことであった。その他にも同社の観光事業、植物工場等のご報告があった。
■第4回(平成27年9月29日)
 ◇トピックス:「沖縄からのアジア展開 ビッグデータとアジア市場の現状」
 ◇講   師:株式会社アイディーズ 代表取締役社長 山川 朝賢 氏
 ◇内   容:
 県によると、平成27年4月に来沖した外国人観光客は13万人を突破。レジャーやお土産品以外のニーズを掴んだ品揃え、買物しやすい売場提供等も今後は重要であるが、インバウンド市場に対応できていないのが現状である。  9月のサロンは、食品流通マーケティングを行ってきた株式会社アイディーズ山川社長に話題を提供頂いた。同社は1日に入手する700万人分の食品POSデータをi-codeとして統一化した。外国人観光客が日本で買い物をする際の不満・心配は言語の問題というアンケート結果もあり、i-codeに多言語での商品説明(添加物、アレルギー等含む)を結び付ける取り組みを行っている。その他にもi-codeの利用法の説明があった。
■第3回(平成27年6月30日)
 ◇トピックス:「琉球大学におけるダイバーシティ推進の取り組み」
 ◇講   師:国立大学法人 琉球大学 理事・副学長 外間 登美子 氏
 ◇内   容:
 沖縄県内唯一の国立大学である琉球大学は、これまで社会で活躍する多くの人材を輩出してきた。国際化・多様化する現代において、時代ニーズに即した人材育成に対する大学の果たす役割への期待は益々高まっている。
 6月サロンには外間副学長をお招きし、同学のダイバーシティ推進についてご報告頂いた。外間副学長が勤務されてきた中で、働く女性の増加や、男女共同参画基本法の制定など環境は変わってきたものの、女性研究者の割合は平成22年現在で13.6%(米国:34.3%)と、まだ少ない。琉球大学においては平成24年に「うない研究者支援センター」を設置し、支援・相談体制を整えるなど、女性研究者を支援している。
■第2回(平成27年5月19日)
 ◇トピックス:「沖縄県アジア経済戦略構想について」
 ◇講   師:沖縄県 商工労働部 部長 下地 明和 氏
 ◇内   容:
 沖縄県は、アジア市場を見据えた産業・ビジネス等の経済戦略構想策定に着手しており、今年はじめからその具体的政策を検討する「沖縄県アジア経済戦略構想策定委員会」が設置されている。
 5月サロンでは、沖縄県商工労働部の下地部長に、県のアジア経済戦略構想をご説明頂いた。
 アジア経済戦略構想は、そもそも翁長知事の公約として掲げられたものであり、構想策定に当たっては、「沖縄21世紀ビジョン基本計画」を参照し、県の主要産業である観光・情報・物流を核としたとのことであった。現在、「沖縄を日本とアジアの架け橋に!」という考えの下、委員会の下に3つの作業部会も設置し、議論が進められている。
■第1回(平成27年4月28日)
 ◇トピックス:「台湾と沖縄の経済・文化・スポーツの新たな動き」
 ◇講   師:台北駐日経済文化代表處 那覇分處 處長 蘇 啓誠 氏
 ◇内   容:
 台湾と沖縄は、歴史的に友好な関係にある。観光面では、昨年来沖した台湾人は30万人の大台で、外国人観光客の中で最多であった。
 4月サロンでは、台湾について台北駐日経済文化代表處那覇分處の蘇處長にご教授頂いた。まず、面積、GDP、輸出額・輸入額等の基礎データの後で、台湾独自の動きの紹介があった。例えば、台湾と国交のある国は2008年の民進党政権下で23か国であること、1971年に国連を脱退したため、2003年のSARSに関してWHOから情報が得られなかった事などである。その他、宮古島の「オトーリ」に似た習慣がある事や、中国との関係は現状維持を望む住人が多い事など硬軟織り交ぜた話題に参加者は聞き入っていた。